カラーミュータント脱毛症
Colour Dilution Alopecia
この脱毛症を示す病気は、毛包の発育異常とメラニンの形成障害を特徴とする遺伝性のものである。この病気は、いろいろな犬種、ブルー並びにフォーンに被毛を持つドーベル、ミニピン、ダックス、プードル、ウィペット、イタグレ、サルーキ等に見られる。
一般的に3歳くらいまでに徐々に発症し、虫食い状態と被毛の淡色化が見られる。被毛が薄くなるのに伴い、ふけがでて、ブツブツして、毛穴の細菌性の炎症を示し、最終的にはかさかさした脱毛となっていく。体幹に主に見られ、頭部および四肢にはほとんど見られない。二次的な細菌感染性の皮膚炎がなければ、痒がらないことが多い。
イタグレにおいて診断は、ブルー又はフォーンの犬が、背中を中心に徐々に進行する脱毛が若いうちに見られた場合カラーミュータント脱毛症が疑われる。獣医的には被毛を抜いて顕微鏡検査をするか、診断を確定するために皮膚生検をする。
脱毛が始まる年齢に寄っては、内分泌性脱毛も考えられるので(イタグレには甲状腺機能低下症もよく見られる)ホルモンの検査をする場合もある。
治療は特効的なものはなく、慢性に経過し、毛の生える期待も薄い。治療の目的は、毛穴の感染症を防ぐことで、シャンプーで皮脂を落とし、その後乾燥させないようリンスをし、抗生物質を投与する。
この病気は遺伝性なので、罹患した犬を繁殖に供すべきではない。